人を動かすのは「理屈」でなく「思い」

あまり使うことはないのですが、
近くにある通学路にもなっている歩道橋。
久しぶりに渡ってみると、
こんな張り紙が貼ってありました。

「タバコをすてるな! 見られてるぞ〜」
「やけどするぞ〜」

「ダメだな」
「わかった」
……と、あまりにもそのまんまな
わかりやすいマンガまでありますが、
おそらくはここを使う
小学生の子どもが貼ったのでしょうね。

妙に迫力のある、
芸術作品になっていました(笑)

こちらの歩道橋、
すぐ下に並行して横断歩道があるため、
大人はあまり使いません。
ただ私も記憶があるのですが、
安全のために通学路には歩道橋を使うよう
指示されているわけですね。

渡った向こう側には、
私もかつて通っていた小学校があります。

そんな歩道橋ですから、
夜になればほとんど使う人はいません。
だからでしょうね。
きっと陰のところでこっそりと
タバコを吸う人がいるんでしょう。
しかも携帯灰皿を持たず、
吸い殻をポイ捨てします。

通学で使う子どもの誰かが、
それを見かねたんでしょうね。
こんな手書きの張り紙を
わざわざ掲示したわけです。

そうした思いが伝わりますから、
けっこう効果はありそうですよね。

タバコをくわえ、
火をつけようとした瞬間、これを見たら、
さすがに申し訳なくなってしまいます。

「ポイ捨て禁止」のポスターは数あれど、
実際に迷惑をかけている子どもの
生々しい感情が伝わってくるから
ブレーキがかかる。
どんなコピーライターも
こうした思いのこもった言葉には
勝てないですよね。

本屋さんでも、
店員さんが実際にその本を読んで
感動したから、
「みんなに読んでほしい」と
手書きで書いたPOPが威力を発揮することは
よくあります。

執筆の仕事をしていると、
どうも技巧的にばかり考えて
理屈ばかりを押し出してしまいます。
でも、こんなふうに
感情を思いっきり出したほうが
読者により伝わることはあるわけです。

この子の張り紙は
喫煙者に注意をうながすだけでなく、
どうやら近所のしがない作家に、
大事なことを思い出させたようです(笑)



[夏川が出会った「できる人」たち]

古典学のススメ28〜いまだから切実な徒然草の「幸せを感じる生き方」

夏川が勧める古典の紹介。

今日はこちら『徒然草』ですね。
写真には読みやすい、
角川ソフィア版を紹介しました。

教科書で恐らくは誰でもが
部分的に読んだことのある。
吉田兼好さんの名著。
「つれづれなるままに、
つまらない日常をつづった書」
ですが、
書かれたのは14世紀の鎌倉時代です。

それがなぜか現在、
非常に共感されているという。
理由は簡単で、
「自分らしくありたい」とか、
「他人に束縛されない生き方を……」
という現代のニーズにピッタリなんですね。

兼好さんは僧侶であり、
歌人でもあった方ですが、
貴族や武士のように、立身出世をかけて
上を上をと目指していく生き方を
嫌った方です。

富に執着せず、
人との関係をありのままに見て、
もっと精神的に自由な生き方をしようよ
……と。
そんな生き方は、
人生100年になった現代のほうが、
700年前より切実かもしれませんね。

たとえば兼好さんが、
山奥にある古い家に足を運んだときです。
庭と外の境界は曖昧で、
菊や紅葉が無造作に植えられている。
そんな環境で生きるのは、
「自由でいいな」と、本当に感動するわけです。

ところが途端に、幻滅してしまう。
どうしてかというと、
1本の蜜柑の木だけは厳重に柵で囲み、
誰かがもいでいくことを
必死に防いでいるわけです。

なぜこれに幻滅するかといえば、
自由で他人に縛られない生き方をしながら、
人に何かを奪われることにだけは、
非常に執着をしているわけです。
つまり結局は他人によって
ふり回される人生から、
自由になっていないではないか……と。

蜜柑があれば幸福、
誰かがとったら不幸。
そういうあり方をしている限り、
人の幸福は運に左右される
非常に脆弱なものになります。

どちらにせよ、ありのままを受け入れ、
それでもゆるぎない幸福こそが、
本当の幸福なんですね……。

「露や煙のように、
人間の命ははかなく消えるものだからこそ、
人生の感動は生まれるのです。
永遠に住めないこの世に、
最後まで見にくい姿さらすことに、
どんな意味があるのでしょう?」

700年前にこんなことを考えた人がいたことは、
本当にすごい……のですが、
現代にも通用する幸福論の書です。
しかも「つまらない日常」から、
それを解釈しているんです。
再び手に取ってみるべき
古典ではないでしょうか?



[夏川賀央の「古典学のススメ」]

「深大寺そば」の仕事術

久しぶりに先日、
こちら東京都調布市の
「深大寺」に立ち寄りました。

奈良時代にまでさかのぼる
古いお寺ですね。
銅製に釈迦如来倚像は、
今年になって国宝にも指定されました。

植物園にもなっている自然に囲まれた、
非常に美しい寺院です。

でも、ここを有名にしているのは、
この地を愛した水木しげるさんにちなんだ
ゲゲゲの鬼太郎と、
あとは「おそば」ですね。

写真は比較的手軽なお店で食べた
「深大寺そば」ですが、
手軽でも景色を見ながら
優雅に食べることができます(笑)

この深大寺そば、
もとはといえば、
この地でお米などがとれず、
代わりにお蕎麦をつくっていたことに
起源があるそうです。

湿原地帯で、
水には恵まれていました。
江戸時代には、
献上品にもなっていたそうですね。

ただ、お蕎麦屋さんが軒並み名を連ね、
お蕎麦の町になってしまったのは
昭和になってから。

じつは町ぐるみで
「お蕎麦を有名にしよう」という
マーケティング戦略の
たまものなんですね。

その大きな発端になったのは、
かの大作家、
松本清張さんです。

清張さんは「深大寺そば」を愛し、
お蕎麦屋さんで執筆をすることすら
あったそうですが、
作品にも深大寺とおそばが
登場しています。

こうした著名人の口コミを合わせ、
古い建物と景観を生かし、
お蕎麦屋さんをどんどん展開していった。

それが現代、
おそばやさんで賑わう深大寺……に
発展していったわけですね。

ブランドづくりが成功した
見事なマーケティング例かもしれません!





[効率無視の仕事術]

24日「賢者の会」のミニセミナーでは「読書懇談会」をします!

すでに告知していますが、
9月24日は広尾にて
「第54回・賢者の会」を開催します!
https://www.facebook.com/events/114045055937460/

大谷更生さんをお迎えして、
今回は
『現状を打開する「相談力」』
というもの。

じつはビジネスにはかなり有効な手段だけに、
期待したいところですね!

そして毎回、30分の時間をとって行なう
「ミニセミナー」ですが、
ちょうど6月には
「読書会」についてのプランを
表明しました。

残念ながらまだ具体的に
動き出してはいないのですが、
ちょうど今回は
読書療法学会の寺田真理子さんも
来られる予定……とのこと。

なので今回は
「読書懇談会」のようなものができたならな
……と考えております。

別に難しい話ではありません。
その場で本を読むということでもなく、
ただ皆様に、
いま、おススメの本を紹介していただく
……というだけのこと。

本の読みかた(その本の楽しさ)、
読むタイミング、読む場所などなど。
単純なことから、
少し本の喜びを伝染させていこうかな、と。
そんな趣旨です!

じつをいうと、
植西聡先生がやっていた読書会の
パクリのようなものですね(笑)

もちろん自身で本を書いている方は、
その本の宣伝を
思う存分にやってくださって構いません。
いつも著者先生の多い勉強会ですから、
ひょっとしたら聞いているだけで
お得かもしれませんよ!

ちなみに気が早いのですが、
夏川が紹介しそうな本は写真。
(マキャベリ『君主論』
 ジャレド・ダイヤモンド『第三のチンパンジー』
 ショーペンハウエル『読書について』)

とくに『君主論』は、
いまの世界情勢を理解するのに
ぜひ読んでおきたい本かもしれません。
http://amzn.to/2ttz5QZ

というのも、
北朝鮮のような暴虐な国に対峙しながらも、
アメリカ、中国、ロシア、韓国、
それにドイツまで加わって、
各国が有利な状況を引き出そうとする様は、
なるほど本書がまるで
教科書になっているかのよう。

当時のフィレンツェと同様、
小国の日本がいかに立ち回るかの
ヒントも多くあるような気がしますね。



[賢者の会・賢者のビジネス研究所]

世界が1つになるために

本日は911。
米国で同時多発テロが起きた日
……でしたね。

私の脳裏にはまだ、
テレビニュースのちょうどリアル映像で
貿易センタービルに2機目の旅客機が
突っ込んでいった光景が残っています。

あれから16年……なんですね。
ニューヨークでは追悼も行なわれ、
画像はその光景ですね。

そもそもはイスラム過激派が起こしたテロ
……ですが、
16年の歳月にはいろんなことが起こりました。
テロは撲滅すべき。
でも、その前提として、
私たちは宗教的な差異を
乗り越えてグローバルマインドで
理解し合う必要がある。

でも世界は、
なかなかそれを実現できていません。

ちょうど現在、
じつは大きな宗教的問題も起こっています。
日本ではあまり報道されませんが、
私たちには信じ難い。
「仏教徒がイスラム教徒を迫害している」
という問題です。
場所はミャンマーですね。

ミャンマーというのは、かつてのビルマ。
ノーベル平和賞を授賞した
アウン・サン・スーチーさんが
事実上のトップとなり、
民主化路線をとるようになってきました。

でも、そのアウン・サン・スーチーさんは、
この問題を放置し、
また軍の弾圧を容認している疑惑で、
「ノーベル賞を取り上げるべきでないか」
という議論まで起こっています。

じつは仏教国であるミャンマーには、
「ロヒンギャ」という
イスラム教の少数民族が西部に住んでいて、
ずっと迫害を受けてきたんですね。

難しいのは彼らの中からも武装勢力が起こり、
テロを目論むようになったこと。
それを軍が武力的に鎮圧しようとし、
民間人を巻き込んで、
対立がエスカレートしている
……というのはもう、
世界中の様々な場所で起こっていることと
変わりありませんね。

いずれにしろすでに30万人以上の難民が
隣国のバングラデシュに流れているとのこと。

私たちに何ができる
……というわけではありませんが、
やはり「世界の問題を知る」というのが
出発点だと思います。

しかもかなり流派は違うのですが、
ミャンマーは同じ仏教徒。
それが世界で起こっていることを知らずして、
「イスラムとキリスト教はダメだな」
「その点、仏教は平和だから」なんて
思っているのは、
あまりに能天気かもしれません。



[仕事ができる人の歴史入門]
夏川の「アジア史」入門はこちら