混沌の世界で今、必要なこと……重版決定『茶の本』の心

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コロナの再拡大で、
とうとうGOTOキャンペーンも
少し見直されるとのこと。
残念ながらですが、
少しまた活動を抑える生活を
余儀なくされるかもしれませんね。

そんな折りですが、
読書欲求は高まっているのか?
現代語訳させていただいた古典が
重版になっていたとのこと。

岡倉天心さんの『茶の本』。
(致知出版社)
4刷にすでになっていました。
こういう状況下だと
知るのがどうも後々になりますね。

ときは20世紀初頭の帝国主義の時代、
世界が覇権争いをしている中で
日本は遅れて明治の近代化を実現した。

そんな時代に「茶の湯」に代表される
日本的な「和の心」の重要性を
世界に呼びかけたのが本書です。
それが混乱の時代における
1つの道標になるのではないかと……。

これが当時、
世界のベストセラーになったわけですから
私たちは自国文化を誇るべきでしょう。

この精神は、いつの時代だって
求められるものなんです。
現在もそう、コロナへの対策と
先行きの見えない経済状況で
私たちは不安と混乱の渦に巻き込まれています。

ちょうど本書で天心さんは、
古代中国の伝説にある
「霊性」と「物質」の争いに
世の中を喩えています。

その対立によって天空が破壊され、
星々は住処を失い、
月は空の亀裂の中に落ちてしまう。

そこで当時の世界を治めていた王・黄帝は、
これを修復してくれる者を探し求めたのです。
これが東方の海からやってきた
「女禍」という女神でした。

自分たちで解決できない巨大な問題に翻弄され、
世界はつねに女禍の存在を求めている。
ただ、なかなか女禍は現われず、
私たちは翻弄され、いがみあい、不安のなかで
あがき苦しことになる。

で、天心さんは言うわけです。

「ならば女禍の登場を待つ間、
一杯のお茶をすするのはいかがでしょう?」

そう、このどうにもならない現状に対し、
まったりとした余裕。
それでいて自己の存在と他者を認め、
問題を乗り切る強さを持つことこそ
東洋的な「茶の精神」と言うわけです。

なるほど確かにそれは、
今の世界中の人に必要なものかもしれない。
結局のところ私たちは、
「コロナの終焉を待つ」しかないのが
現状ですものね。

そんな困難の乗り切り方を教えてくれる本。
ぜひ興味のある方は
手に取ってみてください!



[夏川賀央の「古典学のススメ」]
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