「物語」は、それでも続いていく

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「鬼は醜い化け物なんかじゃない。
空しい生き物だ。哀しい生き物だ」

漫画『鬼滅の刃』の主人公、
竃門炭治郎くんの言葉。

『少年ジャンプ』連載で累計6000万部。
現役中学生で大ファンの甥が、
なかなか新刊を手に入れらないほどの
大ブームを生み出した作品です。

それがあっさりと、この5月で連載終了。
最終回を迎えました。
作者の意向を組んだ決断なのでしょう。

原作者の
吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さん。
じつは「女性である」という以外は、
正体不明を貫いた漫画家さんです。

この作品がほとんど処女作で、
20億とも言われる印税を稼ぎ出した
期待の新人……なのでしょうが、
漫画家としての活動は終了し、
家のことに専念するとのこと。
それも思い切った決断ですよね。

ひるがえってこの『鬼滅の刃』。

ようは吸血鬼と同じく、
「鬼」に転化して人を襲うようになった
怪物を倒していく、
大正時代を舞台にした作品ですが、
グロテスクな描写があるにもかかわらず
大ブームとなった背景の1つには、
人生を描く「優しさ」があると言われます。

というのも、
悪意でしかない化け物の鬼たちも、
退治される際には、
くどいくらいに人間だったときの物語が
回想される。
どんな暗かった人生でも、
それは当人たちの生きた証であり、
必ず肯定されるべきものだ
……という考え方があるのでしょう。

アッサリと売れっ子漫画家を
引退する著者も、
いままでに比べたら、
脚光を浴びない生活になるかもしれない。
けれどもそれも自分の大切な人生であり、
すべて同じように価値あるものと考えるから
そうした選択ができたのでしょう。
出版人からすれば、残念ではありますが。

くしくも今日は、
夏の高校野球の中止が決定された日。
それだけでなく、
このコロナの影響で、
いままでに打ち込んだことを断念せざるを得ない
苦渋の選択を強いられる方も多いでしょう。

でも、その人の物語は、
ずっと続いていくわけです。

それは「いままで」と比べれば、
輝きにとぼしい、
地味なものに見えるかもしれない。

けれども人生のすべてのステージを
等価に肯定し、
「これでいいんだ」と自分に確信ができないと、
新しい幸福をつかむことはできません。

他人の評価を規準にするのでなく、
あくまで自分で自分の生き方に
価値を見いだしていく。

絶頂期で終えた漫画から、
そんなことを学んでいきたいですね。



[Words of Wisdom〜君はこの言葉を知っているか?]
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