味わってほしい「日本人のこころの追求者」の思想

画像に紹介した本は、
「古典」というわけではありませんが、
古代日本の思想を追求した本。

すべて哲学者・梅原猛さんのものですね。
1月12日、
93歳の人生を閉じたということです。

くしくも同じ日に、
女優の市原悦子さんが亡くなっていますが、
優れた方々が年の早々に
次々と逝ってしまうのは寂しいですね。

哲学者、梅原猛さんの本。
古今東西のさまざな思想と比較しながら、
独特の奇抜な発想で、
古代人の感覚を読み解くもの。

それは歴史学という立場から見れば、
どちらかといえば「異端」の考え。
批判も浴びてきました。

それでも「面白い」んです。
だから自分の書棚をざっと見ただけで、
これだけの本をすぐピックアップできる。
けっこう読んでいるですね……。

そのなかでも特筆したいのは、
拙著、『君はこの言葉を知っているか?』で
参考にさせていただいた
『最澄と空海』という本。
(小学館文庫)
この本では、最澄という人物の言葉を
紹介しています。

天台宗の祖・最澄さんは、
頭が少し固い人で、
若き天才だった空海に圧倒された人
……と日本史ではよく描かれます。

けれども梅原さんは
その最澄にスポットを当て、
自分の凡人さをよく理解していたからこそ、
懸命にあがいて
生き方を模索をした人ととらえています。

「自分は狂った人間のうちで
もっとも狂った人間、
愚かな人間のうちでもっとも愚かな人間で、
何をすることもできない無能力な人間だ」
だから「このはかない人生の中で、
できるだけ善を積まなければならない」と。

それが「自利利他」という思想に
つながったんですね。

その『最澄と空海』には、
こんな一説もありました。

「日本人はずっと古くから
一つの信仰をもってきたと思われます。
それは草も木も、山は川も
人間と同じ生命を生きているものである
という考え方です。
それゆえに、すべてのものが神であり、
神性をもっています。
それゆえに、人間が死ぬと
必ず神になるわけです」

それは確かに、
私たちの考え方かもしれません。
みんな神になるんです。
そう考えて、
いまをしっかり生きていきましょう。



[夏川賀央の「古典学のススメ」]
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