「成人の日」だから大人も読んでおきたい古典『武士道』

昨日は成人の日にちなみ、
私が現代語訳した
橋本左内の『啓発録』を紹介しました。

「子ども心を捨てよ!」
という強烈なメッセージは、
もともと左内さんが15歳のときに
記した言葉。

「一人前になって仕事を担う」ことに、
それほどの重い意味を課せた武士の哲学。
これを世界中の人に解説したのが
新渡戸稲造さんの
武士道』になるわけです。

「十五歳で成年となり、
行動の自由が許されるようになると、
彼は武士のどんな仕事にも役立つに
十分な鋭い刀を持ち、
自身に誇りを持つようになります。
まさに危険な道具を所有する感覚が、
彼に自尊心や責任を抱かせるのです」

この「自尊心」と「責任」はキーワードで、
武士というのは、
「戦士」であり社会のエリートです。
だから「仕事をする」というのは、
「名誉をもってその使命を果たすこと」
であり、
その名誉を持つ以上は、初心者であろうが
命をかける必要がある。

だから『武士道』の本には、
武士として家の名誉を回復するため
徳川家康の暗殺を誓った
17歳と8歳の兄弟が、
最後には捕らえられ、
見事な切腹をする場面も紹介されます。

女性も例外ではありません。
夫と家の名誉を守るため、
短刀で自害する若い武士の妻の話もある。
それも「名誉を守ること」が
仕事だったゆえの、
必然的な責任だったわけです。

もちろん
「そんな時代に戻るべきだ」
とは思いません。

ただ、自分が担っている仕事や、
己の立場に対する
「自尊心」や「責任感」が
あまりにも軽くなっているのは、
政界や相撲界や教育界を
例にあげなくなって、
あらゆる世界に言えることでしょう。
本を書く人だって同じですよね。

「成人の日」に、それ以上の年齢の方は、
新成人を送り出しました。
でも、その前に、
ちゃんと自分自身のがいま担っていることに
「自尊心」と「責任」を持っているか?
いま一度、考えたいですね。



[夏川賀央の「古典学のススメ」]
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