4000年の夢を叶えようとする人々

「アッラーは殺し合いを好まぬ。

キリストとて、同じであろうに」

以前にもブログで紹介した言葉です。
12世紀に生きた、
エジプト・アイユーブ朝の王様であり、
アラブ世界の英雄。
サラディン(サラーフ・アッ・ディーン)さんですね。

ヨーロッパからの十字軍を破り、
エジプト、シリア、イエメンに及ぶ
広大な領域を支配した軍事的天才。
けれども民間人は敵だろうと保護し、
無益な殺生はせず、約束は必ず守る
……ということで、
敵対したキリスト教徒からも尊敬されました。

そのサラディンさんは、
エジプトの王様に出世したけれど、
もともとはイラク北部で、
「国亡き民」として生まれら出自。
そう、現在、
イラクの自治区で住民投票を行ない
「独立への動き」で世界をゆるがしている
クルド人の出身なんです。

「世界最大の少数民族」と呼ばれ、
トルコ、イラク、イラン、シリアなど
合わせれば3000万人の人口を持つ
……と言われるクルド人。

歴史上では唯一、国をもったのは、
紀元前2000年の
古代メソポタミヤ文明のころにまで
さかのぼると言われます。

つまり、それ以来、
ずっと大国に分断され続け、
翻弄されてきた民族なんですね。
まあ、ほとんどは遊牧民の方
……ですから、
サラディンさんのような方をのぞけば、
世界の動きなど、
どこ吹く風だったのかもしれません。

ただ、近年、この地域は
ISのテロリストたちが占領し、
住民たちを奴隷のように従わせた。
世界が放置してきた頃から、
クルドの人たちはずっと
不屈の抵抗を続けてきました。
勇敢な女性兵士たちは、
たびたびメディアでも取り上げられましたね。

そしてイラクからISを追い出した現在、
彼らが
「今度こそ自分たちの国を持ちたい」と
考えるのは、
至極当然のことなのでしょう。

他国への影響を恐れ、
周辺諸国はこの独立を、
なんとしても止めようとしています。

でも、そもそも宗教を越えて、
世界と対等に渡り合った
偉大な英雄を生んだ民族です。
平和的な解決は必ずできるはず
……と考えるのは、
私だけではないでしょう。

この地域が安定すれば、
世界遺産になるような
遺跡がたくさんある地域。
いつか楽しく訪ねられるような未来に
期待したいですね!



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