古典学のススメ26〜夏への扉、時間の壁は超えられる

「古典学のススメ」です。

おススメの古典ですが、
今回はいまの季節に相応しいタイトル。
紹介するのはSFファンなら
「知らない人がいない」というくらいの
有名な古典SFですね。

夏への扉』。
アメリカの作家、
ロバート・A・ハインラインが
1956年に書いた小説です。
(ハヤカワ文庫)

その冒頭は、これも
ものすごく有名になっています。

・設計ミスで建てられた我が家には、
猫用の扉も含め、外に続くドアが12もある
・冬になると飼い猫のピートは、
その1つひとつを、ぼくに「空けてくれ」とせばむ
・彼は12個のドアのうちの1つが、
必ず夏へ続いていると信じているのだ……

要約するとこんな感じですね。

ところで私の
時間を使う人、時間に使われる人
を並べたのは、
この本は主人公が
「時間を取り戻す」物語だからです。

技術者でベンチャー企業を起こした主人公は、
裏切りに遭い、すべてを失ったあげく、
人口冬眠で30年間の眠りにつくことを
余儀なくされます。

そして目覚めてゼロの状態から
彼は普通なら不可能な
「失った時間」を取り戻そうとするわけです。
まさに
「時間の常識を突破する」という、
私の本のコンセプトそのまま……ですが、
実際に物理的にやってしまいます。
まあ、そこはSFですから。
人口冬眠にタイムマシンと、
いろんな手段が出てきますが(笑)

巨匠、ハインラインさんは、
アメリカ人らしい行動主義の主張から、
右翼的とも言われた作家です。
でも、
「どんな状況になっても、
人間は前向きに行動することで
不可能を可能にすることができる」と
信じました。

「うまくいかない時間」とか、
「ムダになっている時間」
「イヤな思いをする時間」というのは、
誰にでも訪れます。
ただ、その時間を
「いまは耐えよう」とか、
「仕方ないんだ」と過ごしている限り、
ただ年月を積み重ねるだけになってしまう。

だとしたら猫のピート君のように
「夏へ続く扉」を、
一生懸命に探すべきではないか?

もちろん人口冬眠や
タイムマシンは現代にもありません。
その代わり、たくさんの知識や
たくさんのハウツーが
世にあふれているわけです。

いくらでも私たちは、
「時間の壁」を突破できるんですね。



[夏川賀央の「古典学のススメ」]
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