私には敵はいない

「私には敵はおらず、
憎しみの気持ちもない」

2010年に本人不在のまま
ノーベル賞平和の授賞式で
発表されたメッセージ。
感動的でした。
中国の作家であり、人拳主義者。
劉暁波さんの言葉ですね。

残念ながら私たちはその考えを聞き、
文章を読む機会も持てませんでした。
ノーベル賞受賞後も獄中から出ることなく、
13日に肝臓がんにより、
61歳でお亡くなりました。

本当にもったいないことであり、悲しいこと。
心からお悔やみ申し上げます。

ノーベル平和賞の授賞式で
発表された
「私には敵はいない──私の最後の陳述」
という文書。
全文はここにあります。

民主化による自由をうったえ続けた、
劉さん。
89年の天安門事件の中心となり、
非暴力の運動に徹したものの
逮捕されて以後は、
その活動の自由は奪われました。
それでも国を出ることなく、
祖国を愛し、未来を信じ続けたんですね。

「憎しみは人類の知恵と良心を腐らせ、
敵対意識は民族の精神を傷つけ、
生きるか死ぬかの残酷な闘争を煽り、
社会の寛容性と人間性を破壊し、
1つの国家が自由と民主主義へと向かう
道のりを阻むものだ。
私は個人的な境遇を超越し、
国家の発展と社会の変化を見据えて、
最大の善意をもって政権からの敵意に向き合い、
愛で憎しみを溶かしたい」

日本という国の一方的な考え方で、
他国の思想や信条を
とやかく言うつもりはありません。
でも、よくも悪くも
世界中の人々の尊敬を集め、
清廉な姿勢で感動を与えた人物です。

かの大国であれば、
もっと寛容なふるまいも
あったものでじゃないか……。

仕事ができる人の「アジア史入門」
で中国の歴史をずっと追いました。
中国が大勢の偉大な人々が登場し、
日本とはスケールの違う
長い歴史を築いた国なのは間違いありません。

でも、その中国で素晴らしい思想が
たくさん生まれた時代というのは、
やっぱり紀元前の春秋戦国時代。
たくさんの国による
多様な文化が存在し、
孔子や老子や荘子や韓非子や墨子
……といった、
いろんな考え方が自由に
生まれた時代だったわけです。

最近の一部の日本人にも言えることですが、
「こういう考え方しか認めないよ」
……となったとき、
文化は停滞し、成長は止まり、
人も国もどんどん矮小化していきます。

それでも相手を否定することなく、
ただ温かく、
言葉を投げかけ続けた劉さんの姿勢。
私たちは忘れていけませんね。



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