古典翻訳の仕事術

画像は先日の、
寺田真理子さんを招いた
「第52回・賢者の会」。

聴講者として参加してくださった
翻訳家の笹根由恵さんと撮ったもの。
本のお祝いに、お花もいただきました!

笹根さんは昨年、私の
スマイルズの「自助論」
と同時発刊で、ウェッジさんの
「今度こそ読み通せる名著」シリーズ、
アランの「幸福論」』を
フランス語から訳した方。

6月に私の
マキャベリの「君主論」
が発刊され、
シリーズはこれで3冊になったわけです。
ここからは、この3冊がどれだけ売れるか
……にかかっていると言えそうです。

現在は古典がブーム、なんて言われますが、
じつはそれほど訳書が
読まれているわけでもないようです。
読まれているのは
NHKのシリーズやマンガ本に代表される
「解説の本」だったり、
本の中の言葉を抜き出した
「名言集」だったりします。

ただ、それも非常にもったいないこと。
というのも、
西洋の古典をわかりやすく読めるのは、
日本人の特権のように思うからです。

私も英語からの翻訳を
4冊行なったわけですが、
「翻訳をする」というのは、
「英語の本を読む」のとは違いますし、
英語のテストでやったような
「英訳する」とうのとは違います。

むしろイメージとしては
「編集する」とか
「日本語の本を書く」ことに近いのです。
ときには文脈や単語を言い換えたり、
日本人読者に馴染みのある表現をしたり、
カットしたり、組み替えたりして
「文化圏を乗り越えて、
日本人に著者の意図をわかりやすくする」
のが基本です。

もちろんそうでない訳もあるのですが、
とくにこのシリーズは、
「現代の日本人に伝わる訳」を
あえて心がけています。

だから私などは新参者ですが、
笹根さんも寺田さんも、
単に原語理解力に優れているのでなく、
日本語表現に秀でているから
翻訳家として成功されているんですね。

そうすると私たちは、
どんな古い時代に生まれた難解な本だろうが、
翻訳者のリードに従って
フレッシュな日本語で
腑に落ちるように理解できるわけです。

もちろん「現代語訳」というのも
ないではありませんが、
原則は「他言語だから可能になること」でも
あるんです。
原著をより理解するには、
もとの本をその言葉で読むしかありませんが、
その代わり日本語での表現なら、
私たちは自由です。

一方で名著というのは、
現代で話題になるミリオンセラーよりも、
トータルにすればずっと多くの人に共感され、
影響を与えてきた本になります。

それをわかりやすく、
翻訳者の力を借りて読む機会に恵まれている
……のですから、
機会はぜひ利用してほしいですね。

むしろ読まないほうが損に思ってしまいます!



[効率無視の仕事術]
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